経営力向上シリーズ(完)     

会社の経営力・会社力を向上するためには、何が必要か?どうすればいいのか?など、会計専門家の立場から、アドバイスします!      

   ①会社の課題が見えていますか?
  ②社員は動いてくれますか?
  ③部門管理を会社の成長に取り入れよう!
  ④経営に集中するためのお金の心配からの開放
  ⑤在庫管理
  ⑥売上目標
  ⑦売上目標作成の実施ポイント 
    ⑧会計の活用 

⑧会計の活用     

『会計の活用』は、できることから始めましょう!

小売業であれば、現金売上から入力するとか、製造業であれば現金で支払った経費を入力するとかです。


もちろん、これだけでは経営成績・財政状態をつかむことはできませんが、集計することだけはできます。
今まではやっていなかったことができるわけですから、その分だけ経営の質は充実したことになります。
色々なことを中途半端にするのではなく、できることをしっかりやっていると、できることを増やしてゆく自信につながります。


会計のメリットは、〝企業が成長すること”です。

「会計」は、「会社を導く羅針盤」としての役割を果たします。


具体的には・・・

1. 経営目標を全社員で共有することができます。

2. 目標の達成に向かって、職場が一体となって取り組むことができます。

3. 目標の達成状況を数字で測定することができます。



測定した結果から成果や反省を導き出し、次の対策を決め、再び実行し、また成果測定を行う…、これを繰り返していくことで、会社は一歩一歩成長していきます。

経営の困った問題として、何故か赤字になってしまったことがありませんか?


皆さんは数字を見ているだけで、なんとなく様子がわかった気になってしまいます。
経験を積んだ経営者やベテラン社員ではなおさらでしょう。


しかし実際はどうでしょうか?
数字を大雑把に把握しているだけでは「儲かっている」と思っていたのに、実は「赤字だった」ということが起こります。
決算時期になって、赤字だと慌てるようでは、安定した経営を行うことはできません。
上手に会計を活用することで、なぜ赤字になったのか、何が儲からなかったのかを把握できるようになるのです。


是非とも今までのシリーズの要点を活用し、会計を活かす経営に取り組んで頂ければ幸いです。

まだまだ疑問点もあるかと思われますので、経営についてのご相談はいつでも税理士法人さくら会計までご連絡下さいませ。

税理士法人さくら会計では「信頼性のある決算書」を作成し、会社の方針、将来の事業計画を持ち、それをしっかりと説明できるよう、経営者の皆さまのお手伝いを致します。

⑦売上目標作成の実施ポイント     

 前回に引き続き、売上目標についてお伝えします。

売上目標額を決めるのには、先ず、1年間の目標売上高を決めます。
商品(群)、得意先、担当者毎に割り振ります。
こうすると、月毎の売上の変化や、各月での実現可能性が見えてきます。
年間の大きな売上ではなく、月割りにすることで現実的な目標として集中力を切らさずに取り組むことができるのです。


大事なことは精度ではなく、売上目標を持ち、達成するために努力することです。

次に、目標額を決めたら重点方針を決めましょう。
重点方針として、やるべきことを絞り込むことです。
これは経営資源に限りのある中小企業では必須条件となります。
重点方針に対して集中することにより効果を生み出すことができるようになります。


そして、この実績を把握することが大切です。
できれば得意先別や商品別(地域や担当者など)に把握します。
大事なことは、得意先や商品の売上高を数字化し、毎日観察することです
観察を続けると変化が見えてきます。
手を打てば数字が動き、対策を変えるとどのように数字が変化するか見えてきます。
売上の変化と原因を考えることで、さらなる売上向上や、回復の具体策を検討することができます。


このように、売上目標と重点方針(計画(PLAN))を立て、実行(DO)し、それをチェック(CHECK)し、差異があれば内容を調査分析し、迅速にアクション(ACTION)を起こす。このPDCAサイクルを回す習慣が、足腰の強い会
社をつくります。 

⑥売上目標     

 『売上の目標』はお持ちでしょうか?


「売上」は、商売の中心となります“目標”を持たなければ、日々同じことを繰り返すことになりがちです。日々変化するお客様のニーズ等にいち早く対応していくことが、会社が生き残っていくための条件といえます。


売上の目標を立て(P)、実行し(D)、チェックし(C)、改善(A)を繰り返すことで、会社は成長します。
売上目標を作成するメリットは以下の点です。


 (1) 夢の実現の第一歩
   経営者には誰しも思い描く夢があるはずです。5年後、10年後はこん
   な会社にしたいという夢や漠然とした思いです。夢を実現するためには、
   将来から逆算し、今何をすべきかを考えなくてはいけません。売上目標
   と行うべきことを考え、紙に書いてみることが、夢を実現する第一歩に
   なるでしょう。

 (2) 将来を変えるきっかけ
   売上目標を持つことで、実現するための具体的な取り組みを考えること
   ができます。例えば、A社の子会社とも取引ができれば、売上は2倍に
   なる、しかし、今の仕入先では数量的に対応できない、不足する商品を
   どこから仕入れようか…など、いろいろなことが思い浮かびます。目標
   を持つことで将来を変えていくきっかけができるのです。

 (3) 新しいこと、困難なことにチャレンジ
   売上目標を持つことで、現状以上の取り組みと成果が求められます。目
   標を社員と共有することにより、各々の段階で新しい取り組みが始まり
   ます。また、これまで上手くいかなかったことについても工夫が生まれ
   ます。

上記のメリットをふまえ、“売上目標作成”し、“PDCAの繰返し”が会社の成長に繋がります!     

⑤在庫管理

 経営において、意外に盲点となるのは『在庫の管理』です。


商品を造るためには材料が必要であり、販売するためには商品が必要です。
だから、ある程度在庫を持つことは仕方がない…。
一円の支出にこだわる経営者も、在庫の保有は「仕方ない」の一言で済ませているのではないでしょうか。


“在庫管理”とは、いくらで購入した材料・商品をどれだけ持っているのかを常に把握することです。
在庫管理をしっかり行うことで、着実に利益を生み出すことができます。


小売業・卸売業では、売れ筋商品の在庫を切らさないことが、売上を維持・向上させる秘訣となります。
そのため、在庫管理と販売管理(誰に、何がいくつ、いくらで売れたのか)を一体で行うことが大切です。

売れ筋商品をつかむことに加えて、商品毎の粗利益得意先毎の粗利益を集計したり、在庫の回転日数を計算したりすることで、売上・粗利益・資金の状態を把握することができます。

これを繰り返すことで、発注方法や商品毎の適正在庫量などのルール化が進み、売れ筋商品を切らさない営業が可能となります。


製造業・建築業では、材料・完成品の在庫管理だけではなく、製造途中・建築途中の状態にある在庫(仕掛品)の管理も求められます。特に、決算ではこの仕掛品が期間損益に大きな影響を与えます。


仕掛品を管理するためには、どれだけの材料を費やしたのかということに加え、どれぐらいの労力を費やしたのかという情報も不可欠です。

そのためには業務日報のような仕事の進み具合や費やした労力(人数と時間)を測定する仕組みを準備する必要があります。

     

④経営に集中するためのお金の心配からの開放

「資金繰り」の心配は、実は単純な「お金がない」という悩みではありません。
将来、お金がいくら入り、いくら出て、いくら残るかが早めにわかれば、余裕を持って「対策」に集中できます。


「会計」は曖昧だったお金の動きを明確にします。
お金の動きが早く「見えるように」なれば、先々の漠然とした不安は解消できます。
先手を打って、資金調達、営業強化、商品力向上、投資の実施といった対策を行う余裕ができるからです。


どんぶり経営ではなく、「早く」お金の動きを見えるようにすることが、「お金の心配」から開放されるための、はじめの一歩なのです。


まずは、「現預金出納帳」です。
現金と預金の管理が全ての出発点になります。
他のことをいくらしっかりやっても、現金の管理が甘ければ「経営管理」がうまくいきません。
小さい規模の会社こそ、取引内容と残高をしっかり管理しなくてはいけません。


次に「債権管理」です。
「資金繰りを安定させる」ためには、売上を確保し、適正利益をあげることも大切ですが、売上回収を確実に行うことが何よりも重要です。通常、販売活動は「仕入が販売に先行」しています。

ですから、お金の面では「仕入の支払が販売の入金に先行」します。
この「支払」と「入金」の期間の差を自社が負担していることになります。
この期間差が長くなればなるほど資金繰りは苦しくなります。
請求漏れや回収遅れ、回収漏れは資金の行き詰まりの原因になりかねません。
売上回収を徹底し「債権管理」を確実に行うことが安定した資金繰りのためには大事なのです。


「債務管理」も必要です。
『利は元にあり』といわれるように、仕入先に対する支払こそ優先するべきであり、仕入先から提供される信用こそが、企業が危機に陥った時の最後の拠り所になります。
支払を悪くしていると、仕入先との信頼関係が築けず、危機が乗り越えられません。
購入する商品・製品のサービスの品質、価格、納期だけでなく、支払条件の長短により、仕入先や外注先を選定
することは大事です。
しかし、相手に求める前にまずは、自分たちが払うべきものをしっかり払うという姿勢と取り組みが重要です。

③部門管理を会社の成長に取り入れよう!

 会社が成長していくプロセスにおいて、部門別に業績管理を行うことが有効であります。
部門長には部門運営を円滑に行いながら、利益に貢献する責任が芽生えます。
その結果を測定するためにも、適正な部門業績を算定しながら部門間の調和を図る仕組みが必要となります。


部門別業績管理を行うメリットは、大きく3つあります。

<その1:部門長が利益に対して責任をもつ>
1つ目は、部門長が利益に対して責任を持つことができます。部門長はその部
門において経営者そのものです。受注から業務・納期管理することで得意先に
喜ばれる運営を行う役割を担います。その責任を果たすことができているかを、
部門別損益表で明らかにすることができます。


<その2:部門別に戦略を打てる>
2つ目は、部門別に戦略を打つことができます。事業の内容が完全に単一でな
い限り、業績管理を行う組織の単位を明らかにし、部門別に業績を測定するこ
とで、部門ごとの利益率や1人当りの利益額を算定できるようになりコストの
把握ができるようになります。コストの見直しを行うなど部門戦略へ繋げるこ
とができます。


<その3:社内の活性化につなげる>
3つ目は、社内の活性化につなげることができます。部門別に業績測定するこ
とで、部門ごとの経営者が育成され、効率的に生産性を向上させることができ
ます。更に部門間の業績が明らかになることで、社内に競争意識もうまれ、会
社の活性化につながります。もちろん部門間の調和も重要な項目となります。


 
<部門別業績管理のポイント>
部門別業績管理の実施のポイントとして、部門別損益を算出する仕組みを構築
することが必要です。その際に注意すべきことはコストの考え方です。
コストは変動費と固定費に分かれており、各々の限界利益を算出する仕組み
にすることが大切です。またどの部門にも属さない共通費(本社管理コスト)
については、どの部門でどれだけ負担するかを決定しておくことも大切なポ
イントになります。



<部門別計画を作成しよう>
次に部門別計画を作成しましょう。部門別に目標利益を決定し、実現に向けた
施策や、組織内の役割分担などを検討したうえで、部門別に予算を作ります。
目標利益は、部門長が部門のメンバーとともに作り上げていくことが大切です。
目標利益を実現するためには、取り組みの成果を毎週1回のミーティング
で検証します。また月に1回は実績との対比を行うため、部門ミーティング
を開催し、結果を共有します。目標達成に向けたサイクルをつくることがマ
ネジメントの基本となります。

②社員は動いてくれますか?

 社員やパートさんが毎日、目標をもって自発的に仕事を行っていますか。


まずやらなければならないことは、“会社が進むべき大きな目標を定める”ことです。
そして、皆が知恵を働かせて、取り組んでいくことができる仕組みをつくることが大切です。


日常のコミュニケーションに「数字」を取り入れ、共通の言語として使いましょう。
「数字」という結果を振り返る場をつくることで、なぜ「数字」が悪化したのか、原因は何か、を考えることができるようになります。


「会計」への取り組みは、最初から完全でなくても構いません。
100点満点中10点でもいいからスタートして、粘り強く取り組むことが大切なのです。


会計は学問でも経理でもありません。
一番大きな特徴は、「経営」という形の無いものを「可視化」することができるということです。


経営の「可視化」により、これまで経営者が一人悩んでいた様々な課題を、社員全員が共有し、解決に向けて取り組むことができるようになります。このことは工場の人も営業の人も事務の人もというように、会社のなかでのあらゆるステージで効果を発揮します。


まずは、日々のお金の出し入れを帳簿につけ、業務上の数字を記録、集計する習慣をつけることが、最終的には、部門の責任者が数か月先の情報を先読みして経営に反映させるようなレベルまで段階を踏んで繋がっていくのです。

そのためにも税理士法人さくら会計では、システムを活用して自社内での自計化を進めております。     

①会社の課題が見えていますか?

 会計から「会社の内側」を読み解くには慣れが必要です。
しかし、会計専門家の助言を得ながら、諦めずに分析を続けることで、徐々に見方のコツがつかめるようになってきます。


大事なことは“数字の裏に隠れている問題を見つけること”です。
数字を眺めるだけでなく、営業マンや製造現場の社員、接客をしているパートさんなどと、一緒に汗を流して、改善すべき課題を見つけることが何より大切です。


勘や経験それ自体は大変貴重なものですが“会計を上手に活かすこと”で、効率的で効果的な経営が可能になります。


会計を活用するメリットは沢山ありますが、すぐに現れるメリットとしては以下のものがあげられます。

【会計を活用するメリット】
 1. お金の動きが明確になるため、先手を打って具体的な対策に集中する 
   ことができます。
 2. 正しい「決算書」を作成することで会社の実態を把握することができま
   す。
 3. 将来の目指すべき姿を目に見える形で示すことができます。


これらの結果、現場の社員1人1人に経営者の意識を持たせ、会社に前向きな推進力を生む土台ができます。

会計を活かしていくためには、自社の現状のレベルに合わせ、少しずつ課題をクリアしていくことが大切です。

税理士法人さくら会計では企業の段階に合わせて連載で「活用手法」を紹介しています。
この機会に、会計を活かす経営のお手伝いが出来れば幸いです。