脳は生涯現役

 皆さんは、村上和雄さんという方をご存知でしょうか?世界中からその実績を評価されている分子生物学者です。
筆者は氏の講演をお聴きしたことがあります。


 専門分野のお話もわかり易くお話いただいたのですが、印象深く今も鮮明に記憶にあるのは、現天皇時代の上皇陛下・上皇后陛下に同氏が進講された際の情景でした。

 両陛下のつつましい夕食や、お二人のお人柄に氏は深い感銘を受けたことを暖かい口調でお話をされました。世界的にも評価され仕事をされている高名な学者の方にも拘わらずその優しさ、人間性に聴講者は感銘を受けたものでした。

 氏の研究によると、人間には30億個もの遺伝情報が詰まっており、これが人間としての生を受けるためにはまさに偉大なる何者―シングルグレード―の存在があってのことだと。

そして人間はその持っている設計図の0.5%しか使っていない。

即ち人によって遺伝子から来る影響はそれ程大きな違いはないのだとの結論を披露されました。

だから一人一人が自分にとって「良いストレス」を持ち続けて成長していけば一人ずつが良い結果が得られる筈だと。

「良いストレス」とは何か?氏は次の3つを挙げています。

〇感動すること 〇喜びを感ずる心 〇感謝すること

これを自然体で自分に持ち続けることだと。

氏は特にお二人の方を挙げてその生き方、考え方に学ぶところが多かったと話しておられました。

お一人は氏の祖母―彼女は親族関係でもない周囲の子供達の教育のために経済的な支援を続けて来られた姿を氏は見て育ちました。

祖母がそれ程財産に恵まれていた家庭でなかったにも拘わらず―。

 もうお一人は氏の大先輩の平沢興氏(元京大総長)です。平沢氏は人間が精神的に一番成長するのは75才~85才であるという根拠にもとづいた明瞭な確信を持っておられ、村上氏にもこの事をよく説いておられたとのことです。

 もう50才だから、もう定年だから、そして80才にもなったのだから―と自分の将来に蓋をするのは人として悲しいと説いておられました。

わが国は人生100年時代が想像の話でもなくなってきています。村上氏は当時70才後半。だから80才は通過点だと。

皆さんはどのようにお考えになられるでしょうか。自己の将来にいま一度夢を。
(貝原)
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編集後記:
朝晩はすっかり過ごしやすくなりましたが、お昼間はまだ暑く感じます。この
季節の乾燥はお肌の大敵ですが、洗濯物がよく乾くので有難くもあります…。(新澤)
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